不思議なもので、苗場さんの外見は、まさに鋼鉄を思わせる堅牢強固な印象があるし、いつも落ち着き払っていて、冷たい鉄色の雰囲気すらあるのに、苗場さんに関係したエピソードを思い出すたび、柔らかな羊毛で包まれるような、居心地のいい気持ちになる。
伊坂幸太郎 『鋼鉄のウール』
「どっちも正解」早乙女さんは、わたしの隣に座る。よいしょ、と自分に発破をかけ、ゆったりと腰を落とす。「どうしたら子どものためになるのか一生懸命に考えて、決めたなら、それはそれで正しいんだと思うんだよねえ、わたしは。外から見てる人はいろんなこと言えるけどね、考えて決めた人が一番、えらいんだから」
伊坂幸太郎 『演劇のオール』
網野智世子 評価